理事長挨拶
理事長就任挨拶
特定非営利活動法人日本胸部外科学会
理事長 澤 芳樹(大阪大学大学院医学系研究科外科学講座 心臓血管外科学)
今後の揺るぎない発展のために「いま何をすべきか?」

このたび、伝統ある日本胸部外科学会理事長に就任させていただきました。法人化や英文誌IF取得、学術集会及び地方会の活性化など大北理事長を中心とするこれまでの理事会の流れを引き継ぎつつ、一方で、多難な変革期を迎えつつある胸部外科学会が、今後の揺るぎない発展のために「いま何をすべきか?」、微力ながら貢献させていただく覚悟でございます。
呼吸器外科領域から始まり諸先輩方のご尽力によりここまで築きあげられてきた伝統ある日本胸部外科学会が70年間果たしてきた重要な役割やLeadershipをいま再び強くし、国際的ブランド力の高い日本胸部外科学会として、その揺るぎない明るい未来のために微力ながら貢献をさせていただきたいと思います。
胸部外科学会は、3分野の学術的発展はもとより、共通目標の課題解決とその実践を目的として3分野のバランスのもとに運営されてきました。一方、この多難な変革期を乗り越えるためには、本学会と最も強い連携を持つ心臓血管外科学会、呼吸器外科学会、食道学会各学会各分野と連携し議論を深め意見を取り入れつつ、基盤学会である胸部外科学会において3分野が一枚岩となって苦難を乗り越えて達成し発展させていくことが重要と認識しております。そしてその最初の取り組みが、3分野会長制度や学術集会の新しい体制、自主運営化等であると考えております。さらに、日本胸部外科学会がLeadershipを発揮し、3学会以外の他学会も加えた3分野の基盤学会として総合力と価値をいっそう高め、その魅力から若手胸部外科医にも強く支持され、さらに国際的にもJATSはAATSやEACTS、ESCSとの連携の一角を占めて世界に冠たる国際的ブランド力を有する学会として発展することが今後数年間の目標であると考えます。
この目標達成のため、3つのChanceを生かし5つのMissionを実行すべきと考えました。
1番目のChanceは、一般社団法人化です。これにより、学術集会の改革や種々の事業による財政の一層の安定化と事務局機能の強化に繋がります。
2番目は、IFのある英文誌GTCSであります。IFを向上させその価値を高めつつ、国際化とAcademic Surgeonとして次世代胸部外科医の育成を展開していくべきと考えます。
3番目は、いままさに改革が進みつつある地方会の活性化です。特に地方会と連携強化することは、若手の胸部外科医の育成に繋がり胸部外科学会のより強固な基盤強化できると考えます。
つぎに、これらのChanceを生かし実践すべき5つのMissionとして、
1番目は、あらためて心臓血管外科学会、呼吸器外科学会、および特に食道学会との連携によって深い議論した上で、各学会の意見を良く取り入れて、これらの学会の基盤学会としての胸部外科学会でさらなる議論と実践によって、3分野が発展することが重要と考えます。
2番目は、胸部外科学会がLeadershipを発揮して種々の学会と強い縦横のネットワークを構築し、一方、強い国際連携をはぐくみ国際的ブランド力を高めることが重要であります。
3番目は、次世代胸部外科医の育成が明日の胸部外科発展に重要です。
4番目は、事務局機能のさらなる発展と事業展開等により財政強化を実践すべきと考えます。
5番目は、インセンティブ等の処遇改善と働き方改革を一層すすめ胸部外科医の地位の向上を図って行くべきと考えます。
以上の3つのChance、5つのMissionを中心に合理的運営を行うことにより、これまで70年間培ってきた日本胸部外科学会の重要な役割やLeadershipをいま再び強くし、国際的ブランド力の高い世界に冠たる学会として発展することができると確信しております。
私自身はチームをまとめる最大の努力、そして「お互いに相手の気持ちを思いWin-Winで和気藹々と」と言うのが私のモットーです。これまで外科学会や心臓血管外科学会、日本循環器学会や日本再生医療学会、日本移植学会等で培ってきた各学会での経験や連携、各省庁とのネットワークや政策提言にも活かせればと思います。毛利元就の3本の矢のごとく、3分野が一枚岩になって課題を解決していって、胸部外科学会の大きな力がはじめて発揮できると思っております。
「3分野の最大限の活動発展とその総合力を発揮し、胸部外科学会の学術的発展と合理的運営、次世代胸部外科医育成と国際的ブランドを達成していくために、VisionとLeadershipを持ちChallenging、SustainableそしてToughな胸部外科学会」を構築する。これがこれから数年間の重要な目標と考えております。この達成のために、一体感や達成感が強く深い議論ができるような明るく楽しい未来志向の開かれた学会運営をめざします。これが、日本の胸部外科学そして外科学全体の発展に繋がり、世界に貢献することができると確信しております。何とぞ、会員の先生方におかれましては本学会へのご理解とこれまで以上のご支援ご厚情をよろしくお願いいたします。