前田  恵
前田  恵
Cardiovascular Tissue Engineering/Regenerative Therapies Laboratory Division of Cardiac Surgery-Biomaterials and Regeneration program University of Ottawa Heart Institute

オタワより留学レポート

平成25年10月よりOttawa Heart Institute胸部外科のResearch LabにPost-doctoral fellowとして研究留学をさせていただいています。カナダの首都であるオタワは、オンタリオ州東部に位置し、行政機関が集中する政治都市ですが、トロント、モントリオール、バンクーバーのような大都市ではありません。日本の方もほとんどお見かけすることなく、北米の都市で良く形成されているような留学者同士が集う日本人会のようなものも存在しません。しかし、外国人にとってオタワ市は自然・文化・芸術の豊かなとてものどかで安心して過ごせる街です。2007年ユネスコ世界遺産に登録されたリドー運河が市内の真ん中を流れ、初夏のチューリップ祭には300万本のチューリップが運河沿いに並び、冬季には世界最長(ギネス認定)の天然スケートリンクとなります。中心にあるカナダ政府主要機関の建物が集まったParliament Hillはネオ・ゴシック様式の荘厳な建物でオタワのシンボルとなっています。

留学先のUniversity of Ottawa Heart Instituteは、650人以上の循環器専門医療スタッフが従事し、毎年約8万症例が集まり、およそ100 Clinical trialsが常に進行するカナダ最大、北米でも有数の循環器専門病院です。病院として循環器治療の主要機関であるだけでなく、研究領域では多くのPhDやTechnicianが集い、臨床現場と常に隣り合わせで研究が進行しています。私の所属するLabでは世界でも最先端の心筋再生治療を研究しており、幸運ながら私もその中の一メンバーとして再生医療の研究に加わることができました。私にとって未だに英語の壁は大きくLabメンバーを毎日右往左往させ、その度に反省する日々が続いています。しかし異文化の違いをこころよく受け止め、互いに高めあっていこうとする、その人間性に幾度となく救われています。現在は、臨床に即したprojectをいくつか任され、またSpringer Science bookの総説執筆のお話もいただき、日々充実した生活を送っています。知識・技術だけでなく、良きスタッフにも恵まれ、このようなprofessionalな環境の中で勉強する機会を得たことに本当に感謝しています。

研修医時代に心筋虚血と心不全の病態・治療に関心を抱き、尊敬する多くの医師・医療従事者に出会い、胸部外科を目指しました。まだまだ未熟な外科医ですが、帰国後はさらに修練を積み、少しでも医療、外科領域に貢献したいと思っています。