有賀 直広
有賀 直広
神奈川県立がんセンター 呼吸器外科

医学生・研修医のみなさんへ

現在私は、卒後5年目、神奈川県立がんセンター呼吸器外科においてレジデント2年目として修練を行っております。全国でも有数の症例数の中、実りある研修をさせていただき、忙しくも、日々自分の成長を感じられる充実した日々を送ることができています。

私の医局では例年入局者はやっと1人程度と決して多くの後輩を得られているわけではありません。研修医のみなさんに聞いてみると外傷や緊急疾患も多く、昼夜を問わず対応しなければならないことが嫌厭される理由のようです。かくいう私も学生の頃は漠然と忙しい科というイメージが強かったように思います。しかし、初期研修において心臓血管外科、呼吸器外科をローテートし胸部外科に進むことを志すようになりました。

胸部領域には心臓・肺・大血管など人が生きていくための重要臓器が多々存在しています。少しのミスが即患者の死につながります。そんな状況の中、確実に手術を行う術者の確かな技量が必要とされます。また胸腔鏡に代表される縮小手術から、血管形成が必要な拡大手術まで手術のバリエーションにも富んでいます。胸部外傷であれば1秒を争う緊迫した中、全員が手を動かさなければ患者は助かりません。そんな繊細かつダイナミックな世界に触れ、諸先輩方の後を追うことになりました。

もちろん、忙しいときもありますが、同じような苦労をともにしたもの同士、先輩後輩のつながりは強く、ほかの科にはないつながりを感じられると思います。

このような体験は実際に一定期間一緒に診療を行ってみなければわからないことだろうと思います。医学生・研修医のみなさん、一般外科と違い特殊な領域ではありますが、ぜひその世界をのぞいてみてください。きっと魅力を感じていただけるはずです。そしていずれ一緒に手術をしましょう。頼れる先輩になるべく、私も一層の修練に励みたいと思っております。