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若手医師からのメッセージ

2013年掲載

大阪府立成人病センター 消化器外科
杉村 啓二郎

食道外科医を目指して

 わたしは現在、卒後12年目、大学から移動となり、現在大阪府立成人病センターに移動勤務しています。

 卒業後、大学関連の市民病院で、一般的な外科研修を学びました。市民病院では、一般的な胃癌や大腸癌の手術が中心で、外科医としての基本的な知識や手技を学んだのち、大学に戻りました。大学4年間のなかで、1年間は臨床、残りの3年間は研究に没頭しました。大学の臨床分野では、市民病院では年間数例しか経験しない食道癌の手術が週に2-3件のペースで行われ、通常の典型的な胸部食道癌に対する食道亜全摘、胃管再建手術だけではなく、結腸を用いた再建方法や、頚部食道癌の手術などをみることができました。また、食道癌手術においても、低侵襲治療が導入され、HALSによる胃管作成や胸腔鏡下での胸部操作についても学ぶことができました。

 さらには、近年は食道癌に対する治療は、手術単独では治療成績が不十分であるため、化学療法や放射線を含めた集学的治療が必要であります。大学では、進行食道癌に対する術前治療(化学療法や放射線療法も含めて)も外科で行っているため、そのような進行例に対するstrategyの立て方についても学ぶことができました。

 食道外科という領域は、消化器外科の中でも特殊な領域で、手術手技もハードルが高く、術後管理も他の領域と違いsevereな管理を必要とします。1人前の食道外科医になるためには、まず一般的な消化器外科の知識や手術手技を身に付けた上で、さらに食道外科医としての修練をつむ必要があると考えられます。非常に時間がかかるとおもわれますが、だからこそやりがいのある分野と感じます。この未知の分野で自分がどれだけやれるか、少しでも興味のある方は是非一緒にこの未知の分野に足を踏み入れてみませんか。

大阪大学大学院医学系研究科 外科系臨床医学専攻 外科学講座消化器外科学
田中 晃司

自分の経歴を簡単に紹介

 私は、大阪府立成人病センター消化器外科にて7年間にわたり研修させていただきました。

 初めの4年間は消化器・乳腺・呼吸器・心臓血管外科をローテーションし、その後1年間は、呼吸器外科・食道胃外科・肝胆膵外科を中心に研修しました。その中で食道外科に魅力を感じ、最後の2年間は食道外科を中心に臨床経験を積ませていただきました。

 私が研修した病院は、50~70例/年で食道癌の症例があり、食道外科の研修には非常に恵まれた環境でした。

食道外科の魅力について

 放射線治療・抗癌剤治療の進歩した現在でも、手術は食道癌治療の中心的役割を果たしています。食道は、気管・肺・心臓・大血管など、人体が生命を維持するのに不可欠な臓器に接しており手術は非常にダイナミックです。また、食道癌は反回神経周囲のリンパ節転移頻度が高く、同部位の郭清は重要です。反回神経麻痺は、術後の嗄声、誤嚥、気道狭窄の原因となるため、非常に繊細な操作も求められます。また、食道癌手術は頸部操作・腹部操作も必要なため、非常に手術侵襲が大きく、術前術後の全身管理が非常に重要となります。このように、手術手技も難易度が高いうえ、術前術後の厳密な管理も要求されるため、一人前になるのには時間と経験が必要と思いますが、その分やりがいのある領域と思います。

医学生・研修医にむけてのメッセージ

 ダイナミックかつ繊細な手術、術直後の全身管理を経て、無事に患者様が退院するときは、とてもうれしい気持ちになります。退院後は栄養管理・再発フォローアップ、再発後の治療から、緩和ケアまで、患者様一人一人に合わせた治療が特に必要な癌種と思います。最良最適の治療を提供するために、努力と工夫が常に必要でとてもやりがいが感じられると思います。全体としては、食道癌はまだまだ難治癌であり、術後のQOLなど改善すべき点が多々あり、チャレンジしがいのある領域と思います。

平塚市民病院 外科
山崎 康

 現在私は卒後7年目で、平塚市民病院に勤務しています。

 元々私が医師を目指すきっかけとなったのは、祖父母がともに肝臓を患っていたことでした。医学部に在学中、祖父母がともに他界したことから、消化器外科を徐々に意識し始め今にいたっています。

 私が外科のなかでも特に胸部外科に興味を抱き始めたのは、大学病院で研修医としてローテーションしていた時でした。消化器外科、呼吸器外科、心臓血管外科をローテーションし、どの科も非常に忙しかったですが、手術後の達成感などは格別のものがあったことが今でも印象に残っています。様々な経験をし、現在は消化器外科において、食道疾患を中心に診療しています。

 私が専門としている食道癌は、手術において限られた視野の中で重要な神経、血管などを傷つけないように切除せねばなりません。特に神経周囲のリンパ節郭清などは非常に繊細な技術が必要になります。技術の習得には経験、時間がかかると思いますが、その分、奥が深くやりがいがあると思っています。また現在は食道癌に対し、手術だけではなく、内視鏡的治療、化学療法、放射線療法などあらゆる治療法があります。食道外科医に求められる技術、知識は増えていますが、患者さんにより良い治療をできるよう日々勉強しています。

 最後に、医学生、研修医の先生方は外科医は忙しくて大変というイメージがあると思います。まさにその通りです。ですが日常臨床においてそれ以上のやりがいを感じて我々は診療しています。施設間に差があるかもしれませんが、メリハリをつけて診療していれば、休みがないなんてことはありませんから安心してください。

 ご覧になった医学生、研修医の先生方が一人でも胸部外科領域に興味をもってくれればと思っています。

 

 まずは外科に入局してください。

 

 そして我々と一緒に働きましょう。