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若手医師からのメッセージ

2015年掲載

北里大学医学部 呼吸器外科
三窪 将史

 私が呼吸器外科医を志したのは卒後6年目の時でした。当時私が研修していた三井記念病院では、初期臨床研修の後に心臓血管外科、消化器外科、乳腺外科、呼吸器外科などの外科のトレーニングを受け、それが終わる頃に外科の専門科を選択するカリキュラムだったのですが、それを選択する際には大変悩みました。外科医の特権であり、最大の魅力はやはり手術にあります。手術中に試行錯誤し、時には冷や汗をかきながらも、自らの手で疾患に立ち向かい、手術を終えた時の充実感は何ものにも代え難いものがあります。その意味ではどの科の手術も同じで、いずれも奥が深く、大きな責任を伴うことに間違いありません。その中でも、呼吸器外科の手術は大小さまざまな血管や気管支を扱う繊細な操作から、肋骨や筋肉の切除などのダイナミックな手技もあり、また胸腔鏡手術、縮小手術から開胸しての拡大手術まで、非常に多彩であるところに魅力を感じ呼吸器外科を選択しました。また、肺癌の患者数は今も増加していますが、どの病院にも肺の手術できる外科医がいるという状況ではないため、専門性が高く、どこに行っても活躍の場があるというところにもやりがいが感じられます。

 今は北里大学で肺癌を中心に様々な疾患の治療にあたっていますが、多くの患者さんに出会えば出会う程、自分の力不足を感じることもたくさんあります。外科医といっても手術だけをしていればよいわけでなく、広い視点で疾患について理解しておかなければ、患者さんによい治療を提供することはできません。呼吸器外科って肺癌の患者さんばっかりだし面白いのかな、と疑問に思う方もいるかもしれませんが、肺癌ひとつとっても奥が深い上に、癌以外の腫瘍や、縦隔や胸壁などの疾患を治療する機会も多く、近年では移植や再生医療の分野も日々進歩するなど学ぶことは尽きません。

 医学生や研修医のみなさんの中には、手術もなんだか難しそうだし、そもそも手術なんて自分にできるのだろうかと思う人もいるかもしれませんが心配はいりません。誰もが皆はじめは初心者です。私は初めての手術のときは手が震えて皮膚切開すらまともにできませんでしたし、その頃には正直、執刀医として肺の手術をしている自分などイメージすることもできませんでした。大切なのは興味と学ぶ意欲です。それさえ忘れずにくらいついていけば、あとはたくさんの先輩方が立派な外科医となれるように導いてくれるはずです。「考えるな、感じろ。」 ではありませんが、胸部外科に少しでも興味がある方はあれこれ考えずに、まずは一度その世界に触れてみることをお勧めします。その先にはきっと、わくわくするような世界が広がっていることでしょう。