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緊急のお知らせ

福島県立大野病院における事例に対する判決についての声明

2008年8月27日

福島県立大野病院における事例に対する判決について

特定非営利活動法人日本胸部外科学会
理事長 田林 晄一 

本事例に対する司法の判断への声明を述べるにあたり、日本胸部外科学会として亡くなられた患者さんおよびそのご遺族に心からの哀悼の念を捧げます。

わ が国の医療が世界最高峰のレベルにあることは広く認められているところですが、それをもってしても実施される医療の結果には必ず不確実な部分を有すること は避けられません。医療の不確実性ともいえるものですが、この不確実性の範囲内で生じる不測の事態あるいは不幸な結末と故意や悪意による犯罪とを同列に看 做して刑事処分をすることは、先進国としての分別を欠くものといわざるを得ません。このような観点から、今回の事例に対する無罪判決は、この事例の結末を 医療の不確実性の範囲内のものとして認識したものであり、かつそのような不確実性の存在を認定したものとして高く評価するものです。今回の事例の産科を含 め外科系の医療においては、実施する行為の性格上不確実性の振れ幅の中に死というものは避けられないものです。そのような不確実性による結末が刑事責任を 問われることになりますと、わが国におけるリスクを背負った医療の担い手の育成がきわめて困難な事態となることは想像に難くありません。今回の司法の判断 はそのような事態を水際でとどめる意味でも意義のあるものと考えます。
一方で、世界最高峰の医療水準を保つ上でも医療の不確実性の振れ幅・頻度ともに可能な限り小さくし、患者さんとの良好な意思疎通を保つことに努めなければ ならないことは言うまでもありません。そのためには、我々医療者が研究を重ね理論と技術を不断に改良・発展させると共に現在広く議論をされている「医療安 全調査委員会」による検証・再発防止システムをより良い形のものとして構築し、もってわが国の更なる医療水準とその安全性の向上および透明性の確保を期す ることは焦眉の急であり、日本胸部外科学会としてもそのために力を注いでいく所存です。

以上の観点から、今回の裁判による医療現場の混乱の早期収束のため、日本胸部外科学会は検察庁が本件判決の控訴を行わないことを強く願うものです。

投稿日時: 2008.08.28